【5月29日 AFP】汚職事件で窮地に立たされている国際サッカー連盟(FIFA)のジョセフ・ゼップ・ブラッター(Joseph Sepp Blatter)会長(79)は28日、すでに大きなスキャンダルに直面しているFIFAから今後「もっと悪い話」が出てくる恐れがあると警告した。一方で、自身に対する辞任要求に対しては応じない構えを示した。

 29日に会長選を控えているブラッター氏は28日、FIFA年次総会の開幕に当たり、収賄などの問題の非は自分にはないと言明。しかし27日に7人が逮捕された事実を受け、ブラッター氏はこの嵐は過ぎ去ったわけではないと警告した。

「これからの数か月はFIFAにとって容易なものにはならないだろう。もっと悪い話が出てくるに違いないが、FIFAへの信頼回復に着手することが肝要だ」として、「サッカーとFIFAの評判が泥の中に引きずり込まれたままにしておくわけにはいかない。ここで止めなければならない」と述べた。

 さらに同氏は今回の醜聞を「前代未聞」と形容し、「個人の行動がサッカーに恥と屈辱をもたらす。われわれ全員による行動と変化が求められる」と呼び掛けた。

 同氏のこの発言の数時間前には、欧州サッカー連盟(UEFA)のミシェル・プラティニ(Michel Platini)会長がブラッター氏に本人に辞任を要求するという緊迫の場面もあった。

 プラティニ氏は、世界各地の6連盟の会長による緊急会合の場でブラッター氏に直々に抗議したことを明らかにした。同氏は、2018年と2022年のW杯開催地にそれぞれロシアとカタールを選出したことをめぐる汚職容疑の一環で、スイス警察がFIFA本部を家宅捜索したことに「胸が悪くなり」「吐き気がした」と語った。

 プラティニ氏は他連盟の会長らの面前でブラッター氏に対し、「きょう私はあなたにFIFAをやめるよう、FIFA(会長)を辞任するよう、FIFAを去るようお願いするためにやってきた。FIFAのイメージは悪い。このままではこれ以上やっていけない」と訴えたことを明かした。

 プラティニ氏によると、ブラッター氏はその後の個人的な会話の中で返答したという。「彼(ブラッター氏)は私にこう言った。『ミシェル、お互いよく知っている仲だが時すでに遅しだ。きょう去ることはできない、年次総会は午後に始まるのだから』と」(c)AFP/Tim Witcher