【5月27日 AFP】マレーシア警察は26日、人身売買組織の収容施設とみられる場所に多数見つかった埋葬地を掘り起こす作業を開始した。

 警察はタイとの国境付近で、放置された収容施設28か所のそばに計139か所の埋葬地が見つかったと発表。東南アジアの難民問題の新たなおぞましい一面が浮かび上がった。

 ここ数週間で、経済的に困窮しているバングラデシュ人や、ミャンマー領内から来た国籍を与えられずにいる少数民族ロヒンギャ人ら3500人以上が、タイやマレーシア、インドネシアに到着している。

 マレーシア北部の人里離れた場所で見つかった人身売買組織の収容施設の一つで26日、過去の生活からの逃亡を決意した人々の運命に改めて焦点が当てられた。記者らは、警察が埋葬地の一つを掘り起こし、イスラム教の埋葬布とみられるものに包まれた遺体を収容する様子を目撃した。

 地元警察関係者は、「(ある収容施設で)37の埋葬地を見つけたが、これまでに収容できた遺体は1人だけだ」と明かした。

 山中にある収容施設では、そこで何が起こったかを示唆する証拠の大半がすでに抹消されたもようだが、地面には歯が何本かついている人間の下あごが落ちていた。

 マレーシア警察は、タイ国境から数百メートルしか離れていない山深いジャングルの中に何人の遺体が埋められているのか依然不明だとしている。しかしこれまでの調査で、タイで見つかった収容施設と埋葬地よりも、マレーシアで見つかった収容施設と埋葬地の方が規模が大きいとみられている。

 これらの埋葬地が発見される以前には、マレーシア当局者らは自国領内にそのような場所が存在する可能性はないと否定していた。

 しかしアフマド・ザヒド・ハミディ(Ahmad Zahid Hamidi)内相は26日、政府は現在人身売買業者と警察が共謀していた可能性を考慮していると明かした。

 ニュースサイトのマレーシアン・インサイダー(Malaysian Insider)はザヒド内相の話として、「当局の捜査により、彼ら(人身売買業者と警察)が互いに協力していることが示されている。しかも(地元だけでなく)タイやバングラデシュ、ミャンマーを含めた国際的なつながりを持っている」と伝えた。

 マレーシア警察は、収容施設はタイでの同様の施設の発見を受けて始まった捜索で見つかり、またつい2週間前まで使われていた可能性もあるとしている。(c)AFP/Mohd Rasfan Nor