【5月28日 AFP】人けのない大通りに、未完成の高層ビルの間を吹き抜ける風──「中国版マンハッタン(Manhattan)」と目される開発プロジェクトの現場では、一部から「ゴーストタウン」と呼ばれる光景が広がっている。

 中国・北京(Beijing)から約150キロ離れた北部の湾岸都市・天津(Tianjin)の于家堡金融地区(Yujiapu Financial District)で進められている同プロジェクト。国営メディアによれば計2000億元(約4兆円)の予算が投じられる予定だ。

 中国当局は、同地区がいつの日か、米ニューヨーク(New York)のウォール街(Wall Street)や、英ロンドン(London)のカナリーワーフ(Canary Wharf)に匹敵する金融街に成長することを期待している。

 だが、着工から3年以上を経た現在、完成に至ったとみられる建物はわずか1棟に過ぎず、その他のビルは軒並み建設中、もしくは建設予定地が空き地のままとなっている。オープンは昨年夏の予定だったとされ、地元当局の懸念材料となることは必至だ。また、対岸に位置する響螺湾(Conch Bay)地区の開発プロジェクトでは、未完成のビルがフェンスで囲まれ、街頭にはほとんど人が歩いていない。

 于家堡地区の未完成のビル群の横には、事務所スペースに関する問い合わせ用とみられる電話番号を記した巨大な幕が設置されていた。AFPがその番号にかけると、番号が不動産業者のものであることが分かった。だが電話口の女性従業員は、プロジェクトについては一度も聞いたことがないと話した。(c)AFP