【5月24日 AFP】オーストリア・ウィーン(Vienna)で開催されていた欧州国別対抗歌謡祭「ユーロビジョン・ソング・コンテスト(Eurovision Song Contest)」第60回大会は23日夜に決勝が行われ、スウェーデン代表が接戦の末に6度目の優勝を飾った。

 スウェーデンの伝説的ポップグループ「アバ(ABBA)」の優勝から41年ぶりに同国勢として栄冠に輝いたのは、「Heroes(ヒーローズ)」を歌ったモンス・セルメルロー(Mans Zelmerlow)さん。40か国の審査員と視聴者による投票の結果、365ポイントを獲得して優勝した。

 各国代表の得点は、参加国ごとにビデオリンクを通じてウィーンに報告された。世界平和への賛歌「A Million Voices(ア・ミリオン・ボイシズ)」を歌ったロシアのポリーナ・ガガーリナ(Polina Gagarina)さんが一時はリードしたものの、最終得点は303ポイントにとどまり2位となった。昨年の大会ではロシアによるクリミア(Crimea)半島の併合に関連して同国代表がブーイングを受けたが、今年はそうしたことは起きなかった。

 3位は292ポイントを獲得したイタリア代表の男性3人のグループ、イル・ヴォーロ(Il Volo)。心を躍らせるオペラの楽曲のような「Grande Amore(グランデ・アモーレ)」を歌った。

 決勝にはそのほか、ベルギーのロイック・ノテット(Loic Nottet)さん、60回目の大会を記念するワイルド・カードとして初参加したオーストラリアのガイ・セバスチャン(Guy Sebastian)さんら27人が勝ち進んだ。

 来年の大会は今回の優勝国、スウェーデンで行われる。デンマーク・コペンハーゲン(Copenhagen)で開催された昨年の大会では、オーストリア代表のドラァグクイーン(女装パフォーマー)、コンチータ・ウルスト(Conchita Wurst)さんが栄冠に輝いた。

 一方、ユーロビジョン参加国であり、自国開催の可能性もあるロシアでは、ロシア正教の総主教が21日、ユーロビジョンは「われわれの精神と文化からすれば胸が悪くなるような」価値観を助長していると発言した。

 地政学的な影響は今年の大会にも見て取れた。ある雑誌が「(ドイツの作曲家)リヒャルト・ワーグナー(Richard Wagner)のオペラのような長さを感じる」と評したアルメニア代表のバラード「Don't Deny(ドント・ディナイ、否定しないで、の意味)」は、1915年のオスマン帝国による多数のアルメニア人の殺害を歌ったものとされる。

 アルメニア人虐殺を否定しているトルコは、2012年からユーロビジョンへの出場を見送っている。このほか、ロシアの支援を受ける東部の分離独立派と紛争を抱え、財政難に陥っているウクライナも今回は欠場した。(c)AFP/Simon STURDEE