【5月20日 AFP】(一部更新)北朝鮮は20日、核弾頭の小型化に成功したと発表した。事実とすれば、核弾頭のミサイルへの搭載も可能となる技術進歩だ。

 北朝鮮の国防委員会(National Defence Commission)は国営朝鮮中央通信(KCNA)を通じ発表した声明で「核攻撃の手段の小型化・多様化に着手してから長い時間がたった」「短中距離ミサイルだけではなく、長距離ミサイルでも最高の確度を保証できる段階にわれわれは到達した。この事実を隠しはしない」と述べた。

 北朝鮮の国防委員会は、金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)第1書記が第1委員長を務める同国の最高軍事指導機関。声明では、北朝鮮が今月8日に発表した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を批判した米国とその同盟国を非難した。米国とその同盟国は、北朝鮮による弾道ミサイル技術の使用が、これを禁じた国連安全保障理事会(UN Security Council)の決議に違反していると主張している。

 SLBM発射実験の成功が事実ならば、北朝鮮は朝鮮半島からはるかに離れた地域に核兵器を配備する能力を得たことになる。しかし核攻撃を実施するための最大の難所は、ミサイルに搭載できる大きさに弾頭を小型化することだと専門家らは述べている。

 何人かの専門家は、SLBM発射実験を実施したという北朝鮮の発表に疑念を呈しており、核弾頭の小型化に成功したとの発表にも慎重な姿勢だ。独立系シンクタンク「国際危機グループ(International Crisis GroupICG)」の上級研究員ダニエル・ピンクストン(Daniel Pinkston)氏は「(北朝鮮の)声明と、実際に実施される現実には差がある。虚勢や誇張もあり、国内向けのものもあれば、国外に向けた脅しや圧力として使えるかどうかを試すものもおそらくある」と分析する。

 韓国統一研究院(Korea Institute for National Unification)のアナリスト、チョウ・ハンブン(Cho Han-Bum)氏は、核弾頭の小型化のような複雑な技術を完成させるには北朝鮮政府は「あまりにも財政難」だと、発表に懐疑的だ。また最近、正恩氏が国防相を処刑したとの情報が伝えられたことを受け、正恩氏が軍部の統率に苦心している可能性を指摘。「今回のNDCの発表には、軍内部のタカ派を鎮める狙いや、北朝鮮の核と長距離ミサイルに対する米国など他国の懸念を最大にかき立てることで、こうした国との交渉材料を手にする狙いがあるように思える」と語った。

 しかし、米本土防衛を担う北方軍・北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)のウィリアム・ゴートニー(William Gortney)司令官(海軍大将)は4月、北朝鮮には新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「KN-08」に小型化された弾頭を搭載する能力があると指摘していた。また韓国国防省は、北朝鮮の核弾頭製造技術が「目覚ましい」レベルに達しているようだとの見解を示している。(c)AFP
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