【5月17日 AFP】米国家安全保障会議(National Security CouncilNSC)のバーナデット・ミーハン(Bernadette Meehan)報道官は16日、米特殊部隊がシリア国内でイスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」に対する夜間急襲作戦を実行し、幹部の1人を殺害したと発表した。

 ミーハン報道官によると、米特殊部隊は15日夜、ISの大きな収入源である石油密売を担当していたアブ・サヤフ(Abu Sayyaf)容疑者と妻のウム・サヤフ(Umm Sayyaf)容疑者を拘束する目的で、シリア東部のオマル(Al-Omar)を急襲。アブ・サヤフ容疑者は特殊部隊に向かって反撃したため殺害された。妻のウム・サヤフ容疑者は身柄を拘束され、現在イラク国内の軍事施設で勾留されている。

 米特殊部隊による今回の大胆な急襲作戦は、ISへの攻撃を空爆中心に行っている米軍によるあまり例のない陸上作戦だった。原油埋蔵量の多いデリゾール(Deir Ezzor)県に位置するオマルはシリア国内でも最大の油田地帯の1つで、現在もISの支配下に置かれている。

 アシュトン・カーター(Ashton Carter)米国防長官は、アブ・サヤフ容疑者の殺害が「ISにとって大きな痛手となる」と述べた。ミーハン報道官は、米特殊部隊はイラク政府の同意の下、イラク内の基地から出動したと公表した。特殊部隊の構成人数は明らかにされていないが、負傷者はいなかった。

 匿名の米政府筋によると、今回の作戦で「12人程度」のIS戦闘員が殺害された。銃撃戦はかなりの至近距離で行われ、一時は格闘にもなったという。

 アブ・サヤフ容疑者夫妻の急襲作戦について、シリア政府には事前の通告が行われていなかった。しかしシリア政府は、同国陸軍がオマルでISの「石油大臣」アブ・タイム・サウジ(Abu al-Taym al-Saudi)を殺害したと公表。この人物がアブ・サヤフ容疑者と同一人物であるかどうかには言及していない。