【5月16日 AFP】上空から投下する手のひらサイズのミニ無人機(ドローン)を、米海軍研究所(Naval Research LaboratoryNRL)が開発した。

 この「超小型飛行機」は、その名も「CICADA(シケイダ、セミの英語名)」。長年の幼虫期を地中で過ごした後、地上に大群で現れ脱皮して飛び回り、生殖活動を終えると地上に落下して死ぬ昆虫のセミに着想を得たものだ。「Close-in Covert Autonomous Disposable Aircraft(使い捨て近接自律群飛行体)」の頭字語でもある。

 CICADAにはモーターがなく、わずか10個の部品で作られている。見た目は回路基板の付いた紙飛行機のようだ。飛行時速はおよそ74キロ。エンジンや推進装置を使わないので、ほとんど音を出さない。飛行機や気球、「CICADA」よりも大きいドローンなどから投下し、事前にプログラムされたGPS座標に基づいて滑空しながら情報を送信する。

 3年ほど前にアリゾナ(Arizona)州ユマ(Yuma)で行った実験では、上空約1万7500メートルからCICADAを投下したところ、目標地点から4.5メートル以内の着地に成功している。

 NRLの開発者らは、同形の小型無人機を大量に飛ばせば敵は全てを拾いきれないとの考えから、既存のどのドローンよりも小さく、安価で単純な構造の無人 機開発を目指したという。試作機の製作には1000ドル(約12万円)を要したが、1機当たりの価格は250ドル(約3万円)まで引き下げられるとみてい る。

 NRLの技術者ダニエル・エドワーズ(Daniel Edwards)氏はCICADAを、行き先を指示すれば、そこに飛んでいく「伝書バト・ロボット」のようなものと評した。(c)AFP/Dan De Luce