【5月12日 AFP】世界的な名門オーケストラ、ドイツのベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(Berlin Philharmonic)は11日、首席指揮者の選出を目指し11時間以上にわたって協議したが結論は出なかったと発表した。「今後1年以内」に再度協議する方針だという。

 同オーケストラの役員の一人、ペーター・リーゲルバウアー(Peter Riegelbauer)氏は記者会見で、数回の投票を繰り返したにもかかわらず「残念ながら選出には至らなかった」と述べ、「(選出の)プロセスは継続していかざるを得ず、1年以内には決まるはずだ」という見通しを示した。

 現在首席指揮者を務める英国出身のサイモン・ラトル(Simon Rattle)氏は、2018年に退任することが決まっている。同日午前10時(日本時間同日午後5時)ごろ、ベルリンの南西地区にある教会に楽団員124人が集まり、無記名投票を開始した。

 団員らは守秘の誓いを立て、投票の場への携帯電話や録音装置の持ち込みも禁止された。その厳密さはしばしばローマ・カトリック教会の法王選出会議「コンクラーベ(conclave)」に例えられる。

 ラトル氏の後任として名前が挙がっているのは、地元ベルリン出身で現在はドレスデン国立歌劇場管弦楽団(Staatskapelle Dresden)のクリスティアン・ティーレマン(Christian Thielemann)氏(56)、ラトビア出身で米ボストン交響楽団(Boston Symphony Orchestra)と英バーミンガム市交響楽団(City of Birmingham Symphony Orchestra)を掛け持つアンドリス・ネルソンス(Andris Nelsons)氏(37)、ベネズエラ出身で米ロサンゼルス・フィルハーモニック(Los Angeles Philharmonic)の指揮者、グスターボ・ドゥダメル(Gustavo Dudamel)氏(34)ら。

 1882年創立のベルリン・フィルは、世界最高のオーケストラと称されることも多い。首席指揮者は、他のオーケストラでは役員会や理事会、時には政治家によって選ばれるのが一般的で、このように投票で選出されるのは珍しい。(c)AFP