【5月11日 AFP】南アフリカの最大野党・民主同盟(Democratic AllianceDA)は10日、黒人のミュシ・マイマネ(Mmusi Maimane)氏(34)を党首に選出した。黒人が同党の党首に選ばれたのは初めて。

 反アパルトヘイト(人種隔離政策)闘争の中心地ソウェト(Soweto)の黒人居住区で育ったマイマネ氏は2009年に民主同盟に加入し、今回の党首選を最後に8年間務めた党首の座を降りるヘレン・ジル(Helen Zille)氏に引き立てられて急速に党内で頭角を現した。

 党首選後の演説でマイマネ氏は「南アフリカの若い黒人の多くは、アパルトヘイト時代の彼らの両親と同じように、いまだにチャンスが与えられないでいる。わが国が成功するにはこの状況を変えなければならない」と述べた。

 白人中間層の政党とみなされていた民主同盟だが、昨年の総選挙では得票率22%を記録。アパルトヘイト時代が終わってから約20年を経た南アフリカで黒人有権者にも支持基盤を広げ、与党・アフリカ民族会議(African National CongressANC)に代わって政権を担当できる政党への脱皮を図っている。

 南アフリカ紙サンデー・タイムズ(Sunday Times)は社説で、「過去20年間、わが国の政治はおおむね『黒人対白人』の対立で、アフリカ民族会議がかつて抑圧された人々の党、民主同盟は白人の利益を代表する党とみなされていた」と指摘し、今回の党首選は「民主同盟と南アフリカの政治にとって画期的な出来事」だと論評した。(c)AFP/Sibongile KHUMALO