【5月10日 AFP】コロンビアで開催された国際書籍見本市で先週末に盗まれた同国出身のノーベル賞作家、ガブリエル・ガルシア・マルケス(Gabriel Garcia Marquez)氏の代表作「百年の孤独(100 Years of Solitude)」のサイン入り初版本が8日、無事発見された。同国警察当局が発表した。

 この初版本は、1967年にアルゼンチンの出版社から出された8000冊のうちの1冊で、ガルシア・マルケス作品の初版本を収集している書籍商が所有していたもの。首都ボゴタ(Bogota)で開催された「ボゴタ国際ブックフェア(International Book Fair of Bogota)」で、「百年の孤独」作中に登場する架空の村マコンド(Macondo)やガルシア・マルケスのその他の作品を紹介するパビリオンで鍵のかかったガラスケースの中に展示されていた際に盗難に遭った。

 ロドルフォ・パロミノ(Rodolfo Palomino)国家警察長官は記者団に対し、「盗まれた初版本は、ボゴタ市内の美術品が売買されるかいわいで見つかった」と述べた。窃盗犯が当局から逃げる際に盗んだ本を置いていくのではないかと警察が考えていた、あまり人けのない場所だったという。

 盗難に対して怒りの声が多く寄せられたことから、持ち主の書籍商は初版本が回収されたら国立図書館に寄贈すると宣言。「あの本は、多くのコロンビア人があの窃盗を非難した瞬間から、もはや私のものではなく国の所有物だ。あれは国民全員のものだ」と述べていた。

 ガルシア・マルケス氏は昨年4月、メキシコの自宅で87歳で死去した。(c)AFP