【5月9日 AFP】(一部更新)7日に投票が行われた英総選挙で、デービッド・キャメロン(David Cameron)首相率いる与党・保守党(Conservative Party)が8日、過半数を獲得し勝利した。この結果、野党党首3人が辞任を表明した。

 保守党と野党・労働党(Labour Party)の接戦が予想されていた今回の総選挙は、キャメロン首相の保守党が下院の650議席のうち331議席を獲得する結果となり、与党党首として同首相は続投を表明した。

 保守党の勝利はイングランド(England)で集中したが、北部スコットランド(Scotland)では、英国からの独立の是非を問う住民投票での敗北から約7か月、スコットランド民族党(Scottish National PartySNP)が大躍進を果たした。

 一方、総選挙敗北で労働党のエド・ミリバンド(Ed Miliband)党首や自由民主党(Liberal Democrats)のニック・クレッグ(Nick Clegg)党首、EU離脱を掲げる英国独立党(UK Independence PartyUKIP)のナイジェル・ファラージ(Nigel Farage)党首の3人は辞任を表明した。

 自身の再選後、キャメロン首相は選挙区があるオックスフォード(Oxford)近郊のウィットニー(Witney)からロンドン(London)に移動、バッキンガム宮殿(Buckingham Palace)を訪れエリザベス女王(Queen Elizabeth II)に改めて英国首相として任命された。

 5年間におよび自由民主党と連立政権を組んできた保守党だが、今回の選挙で単独過半数を確保したキャメロン首相はロンドンのダウニング街10番地(Number 10 Downing Street)にある首相官邸に集まった記者たちに対し「私はこれより、保守党単独政権を樹立する」と表明した。

 キャメロン首相はその後、ジョージ・オズボーン(George Osborne)財務相、フィリップ・ハモンド(Philip Hammond)外相、マイケル・ファロン(Michael Fallon)国防相、テリーザ・メイ(Theresa May)内相を再任した。

 総選挙の勝利は、約900億ポンド(約16兆7000億円)の財政赤字に苦しむ英国で、保守党が掲げる緊縮財政策と公的支出削減の継続に対する支持として受け止められている。

 また今回の選挙の結果から、英国内の政治的な分裂状態が露見した。キャメロン首相は勝利演説で保守党勝利を強調することは避け、「国をひとつにまとめる」ことを約束し、2017年末までにEU残留の是非を問う国民投票を実施すること含め、英国国民全体の利益のために誓約を果たすと述べた。(c)AFP/Alice Ritchie