【5月5日 AFP】ネパールで先月25日にマグニチュード(M)7.8の大地震が発生し、自宅が崩れて大きな石が胸の上に載った時、約80年前にカトマンズ渓谷を襲った大地震も体験していたフンチュ・タマン(Funchu Tamang)さん(101)は自分の命もここまでだと観念した。

 しかし、首都カトマンズ(Kathmandu)の北西80キロの山間地ヌワコット(Nuwakot)郡の村に住むタマンさんは、数時間後にがれきの中から救出された。

 胸と手と脚を負傷していたため航空機でハッティガウダ(Hattigauda)の病院に運ばれて入院中のタマンさんは4日、病院のベッドでAFPの取材に応じ、「私は庭にいたんだ…そうしたら石が私に当たった。もうだめだと思った」と当時の状況を語った。「だが今回もなんとか助かったよ」。今回の地震は1934年にカトマンズ渓谷を襲った地震より「ずっと怖かった」という。

 数時間後に義理の娘ががれきの下からタマンさんを助け出してくれたのだ。「彼女がいなかったら私は死んでいただろう」。その後1週間、タマンさんは自宅の庭で過ごし、今月2日にネパール軍の航空機で病院に搬送された。

 地元警察は当初、タマンさんが4月25日から今月2日に救出されるまで、倒壊した自宅のがれきに埋もれていたと発表していた。だが後になって、自宅の庭で被災生活を送っていたところを救助したと訂正した。

 タマンさんによると、震災で死亡した人の遺体が積み上がっているため、現地の信心深い仏教徒のコミュニティーは合同火葬を行うことを先週決めたという。

「運が良かったのかもしれないが、私は体も強いんだ。畑仕事をして、毎日歩いているんだから」とタマンさんはと語った。「私より若い人たちがもうたくさん逝ってしまったのをみると、いったい私はいつ死ぬんだろうと思うよ」

(c)AFP