【5月4日 AFP】北朝鮮に拘束され罪に問われている韓国人男性2人が3日、米CNNが平壌(Pyongyang)で行ったインタビューの中で、韓国政府のために情報活動をしていたと語った。

 2人はキム・グッキ(Kim Kuk-Gi)氏(61)とチェ・チュンギル(Choe Chun-Gil)氏(56)。インタビューは北朝鮮政府の監視人の立ち合いのもと、平壌のホテルの別々の部屋で個別に行われた。

 北朝鮮当局は3月、2人の拘束を発表し、いずれも北朝鮮と国境を接する中国の丹東(Dandong)を拠点に米国の情報機関と韓国の国家情報院(National Intelligence ServiceNIS)の下で反北朝鮮工作を行っていた「極悪テロリスト」だと説明していた。

 2人とも話す内容は強要されたり北朝鮮側が準備したりしたものではないと主張したが、CNNは2人が語った内容は「驚くほど酷似していた」としている。CNNは2人の話の信ぴょう性を独自に確認することはできていない。

 CNNに対しチェ氏は、自身はビジネスマンで、中国北部で働いていたときにNISから接触され、北朝鮮当局に身柄を拘束されるまで3年間にわたって北朝鮮に関する情報収集を行っていたと語った。

 一方のキム氏は、自身は宣教師だがNISから金をもらって、通貨偽造の参考にする北朝鮮の新通貨の入手や、その他の北朝鮮情報の収集に当たっていたと語るとともに、「北朝鮮が無実の人たちを拘束しスパイとして告発することは決してない」などと述べた。

 2人ともインタビューの中で金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)第1書記を称賛し、先月末に国連(UN)本部で開かれた北朝鮮の人権侵害に関する討論会でなされた証言に異議を唱えた。

 両氏とも厳しい拘禁刑が科せられる可能性のある罪状で起訴されている。

 韓国統一省は、北朝鮮による2人の拘束・起訴を「非人道的な行為」と批判し、一刻も早く両氏を解放し帰国させるよう求めている。

 これとは別に北朝鮮は2日、中国から不法入国したとして韓国人学生の朱元文(チュ・ウォンムン、Joo Won-Moon)さん(21)の身柄を4月に拘束していたことを明らかにした。朱さんは米ニューヨーク大学(New York University)に在学中で米国永住権を持っているという。(c)AFP