【5月3日 AFP】先月25日に発生したネパールを震源とする大地震の死者が7000人を超える中、国連(UN)のバレリー・エイモス(Valerie Amos)人道問題担当事務次長兼緊急援助調整官は、ネパール税関当局の「官僚的」対応が救援物資の輸送を滞らせている現状を「極めて憂慮している」と述べた。

 ネパール政府は首都カトマンズ(Kathmandu)でがれきから生存者が見つかる可能性はほぼなくなったとの見方を示しており、救援活動の焦点は遠隔地の被災者の支援に移りつつある。

 だがエイモス氏は、ネパール政府の官僚的な対応により、同国に押し寄せている外国からの援助物資の輸送が遅れているとして懸念を示した。

 エイモス氏は2日、カトマンズ市内でAFPに対し、「税関で非常に長い時間がかかっているとの報告を受けており、極めて憂慮している」と話し、ネパールのスシル・コイララ(Sushil Koirala)首相に救援物資の通関手続きの迅速化を要請したと述べた。

 救援物資を積んだ航空機が世界各地から内陸国のネパールに駆け付けたが、大量の物資がカトマンズにあるトリブバン国際空港(Tribhuvan International Airport)で滞留しているとの報道が相次いで伝えられている。ネパールの税関当局が隣国インドから物資を積んでネパールに入ろうとするトラックを止めているという報道さえある。

 トリブバン国際空港のビレンドラ・プラサド・シュレスタ(Birendra Prasad Shrestha)空港長はAFPに対し、地震と一連の余震により、1本しかない滑走路の状態が懸念されるため、重量が非常に重い航空機の着陸を禁止していると説明。「総重量196トンを超える航空機の着陸を認めないと通知した」と述べた。

 同空港長は、「滑走路に目に見えるひび割れはないが、最近も非常に多くの余震が起きており、用心する必要がある。路面の下がどういう状況になっているのか分からないのだから」と述べた。「この滑走路はカトマンズにとって唯一の命綱だ。これを失えば、全てを失ってしまう」

 今回の地震による正確な被害規模はまだ把握されていない。山岳地帯という地理的条件が救援活動を困難にしている。国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)は、雨期の始まりを数週間後に控える中、甚大な被害を受けた地域で暮らす推定170万人の子どもたちの間で疫病の流行を回避するには、時間との闘いになっていると警告している。(c)AFP/Claire COZENS