【5月1日 AFP】警察官と一般市民との間でいざこざが発生した際にスマートフォン(多機能携帯電話)でその状況を記録し、弁護士に送付できる無料アプリを米人権団体が開発し、提供を開始した。記録は保存可能で、法的手段に訴える場合に証拠として使えるという。

 米国では警察の拘束下や白人警察官によって黒人が死亡させられる例が相次いでいる。今週も、ボルティモア(Baltimore)で黒人男性が警察に取り押さえられた際の負傷で死亡したことを受け、米各地で大規模な抗議デモが展開されている。

 こうした中、米最大の人権擁護団体「アメリカ自由人権協会(American Civil Liberties UnionACLU)」は、警察による市民への人権侵害行為を告発する手段となるスマートフォン用アプリ「Mobile Justice CA」を開発し、4月30日に無料で提供を始めた。

 同アプリを使って撮影した動画が最寄りのACLU支部に送られる仕組みで、スマートフォンを紛失したり押収・破壊されたりしても記録・保存された動画は失われないという。また、同アプリの他のユーザーに近くで警察による侵害行為が発生したことを知らせ、証人として現場に駆け付けるよう呼び掛ける機能も付いている。

 アプリはグーグル(Google)の基本システム(OS)「アンドロイド(Android)」と米アップル(Apple)の「iOS」の双方に対応しているという。

 ACLU南カリフォルニア(Southern California)支部のヘクター・ビラグラ(Hector Villagra)氏は「当局の侵害行為を監視するツールの一つとなる。警官や保安官、国境警備隊など、あらゆる当局者に対して使える」と説明している。(c)AFP