【4月29日 AFP】産業革命以降の地球温暖化は、特定の異常高温の約4分の3、異常降雨の5分の1近くの発生に関与しているとの最新研究結果が発表された。

 スイス・チューリヒ(Zurich)の大気・気象科学研究所(Institute for Atmospheric and Climate Science)のエリック・フィッシャー(Erich Fischer)氏とレト・ヌティ(Reto Knutti)氏の研究チームは、人為的な温暖化に起因するリスク規模の算定を目的として、産業革命前と現代の異常気象をシミュレーションと数理モデルを用いて比較した。

 研究チームの試算によると、温暖化によって今日までに上昇した気温の累積値は0.85度で、「日常における中度の異常」レベルの降雨の約18%と猛暑の75%は、これに起因して発生するものだという。

「極度の異常」事象は約30年に1回発生するのに対し、「中度の異常」は3年に1回の頻度で発生するものとフィッシャー氏は説明する。

 しかし、AFPの電子メール取材に答えたフィッシャー氏は「かつては3年に1回だった猛暑現象が、現在の気候では、3年におよそ4~5回の頻度で発生していることが分かっている」と語り、「産業革命前の世界では発生していなかった、この3~4回の異常事象の発生は、地球温暖化に起因するとの結論を下した」と続けた。

 論文は英科学誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ(Nature Climate Change)」に掲載された。

 科学者らによると、世界の平均地表気温は1880年から2012年までの期間に0.85度上昇しており、これは主に、地球温暖化の原因となる温室効果ガスを人間が大気中に排出した結果だという。

 国連(UN)は温暖化の上限を2度とする目標を掲げているが、専門家らは、現在の排出量では気温上昇が4~5度に及び、平均的な地球気候の変化だけでなく、異常な気象事象の原因となる可能性が高いと予測する。

 研究チームは、2度の気温上昇が起きると、異常降雨の約40%が「人間による影響に起因する」ものになると算出。「2度の気温上昇による異常高温の発生確率は、気温上昇を1.5度とした場合の発生確率のほぼ2倍、現在(0.85度)と比較すると5倍以上になる」と説明している。(c)AFP