【4月28日 AFP】ボスニア・ヘルツェゴビナ東部の街ズボルニク(Zvornik)で27日夜、イスラム過激派とみられる銃を持った男が警察署を襲撃し、警官1人を殺害、2人を負傷させた後、銃撃戦中に射殺された。一夜明けた28日、同国では厳戒態勢が敷かれている。

 男は「アッラーは偉大なり」と叫びながら、警察署で発砲を始めたという。警察によると、事件に関連して容疑者1人を拘束、また数人の事情聴取を行っている。

 1992~95年のボスニア内戦以降、同国はイスラム教徒とクロアチア人で構成する「ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦」と「セルビア人共和国」(スルプスカ共和国)という二つの準自治構成体に分割されている。このうちセルビア人が統治する同共和国で今回のような襲撃が発生したのは初めてとみられる。また襲撃を実行した男の身元は、セルビア共和国出身のネルディン・イブリッチ(24)容疑者と断定された。

 同国のドラガン・メクティッチ(Dragan Mektic)治安相は報道陣に「この犯罪行為」の動機を調査中だと述べた。ボスニア・ヘルツェゴビナ全体の人口380万人の40%はイスラム教徒で、その大半は穏健な信仰を実践しているといわれるが、同治安相は「ボスニア全体で状況が悪化する前兆になることを恐れている。すべてのことが、実行犯が(超保守派イスラム勢力の)ワッハーブ派(Wahhabi)だったことを示している。単独の犯行か、他の人物の関与があるのかなど、まだ確認できていない」と語った。(c)AFP/Rusmir SMAJILHODZIC