【4月28日 AFP】発売されたばかりの腕時計型端末「アップルウオッチ(Apple Watch)」だが、中国の工場ではすでにより安価な「代替品」が大量に生産されている。

「私たちの製品はアップルウオッチの性能をすべて備えている。いや、それ以上だ」と話すのは、通話やインターネット閲覧、動画再生もできるという中国の端末メーカー「深センYQTエレクトロニクス(YQT Electronics)」創業者のZheng Yiさん。売り上げでは米アップル(Apple)社には及ばないかもしれないが、スマートウオッチの開発はアップルよりもずっと前に始めていたと主張する。

 中国で大きな成功を収めているアップルだが、アップルウオッチは最も安いものでも2588元(約5万円)と高額だ。中国製の類似製品ならその6分の1程の値段で買える。

 製造業が多数集まる広東(Guangdong)省深セン(Shenzhen)の生産ラインでは、青いシャツとサンダル姿の労働者たちが、ベルトコンベヤー沿いで黙々と組み立て作業を行っている。約100人が作業に当たるこの工場では、1日に2000個のスマートウオッチが製造可能。Zhengさんの会社では月に5万個以上が販売されているという。

 中国のスマートウオッチはアップルのそれと異なる。中国製の大半はSIMカードを使い、電話のような役割を果たしているが、アップルウオッチはその機能の多くをiPhoneに依存している。

 市内の小売り店でレインボーカラーのスマートウオッチを販売していた女性は、「アップルウオッチのリリースが決まってからは、より注目が集まるようになった。売り上げはいい」とコメントした。

 中国のスマートウオッチは、広東省でその多くが製造されている。アップルのサプライヤーを含む外国企業が大きな工場を設置している場所だ。そのため、地元のベンチャー企業は優秀なデザイナーにアクセスすることでき、数多くの部品メーカーもこの地域に集中している。今後は、Zhengさんの会社も含め、複数の企業で共同の生産ラインに投資し、質の高い製品の開発に着手したい考えだという。

 広東省はIT製品のコピー商品を製造する場所として知られている。だがZhengさんは「コピー商品だと言う人もいるかもしれないが、私はこれを最高の製品から学び吸収し、改善しているのだと考えている」と語った。(c)AFP/Tom HANCOCK