【4月27日 AFP】米報道界で最高の栄誉といわれるピュリツァー賞(Pulitzer Prize)のローカル報道部門を20日に受賞した、カリフォルニア(California)州トーランス(Torrance)のローカル紙「デイリー・ブリーズ(Daily Breeze)」の記者が、「食べていけない」ことを理由にすでに退職していたことが明らかになった。

 今年、ピュリツァー賞のローカル報道部門を受賞したのは、発行部数6万3000部の同紙が、カリフォルニア南部のある学区における教育制度の腐敗に迫った調査報道だった。

 しかし受賞者の発表後に現地ニュースサイト、LAオブザーブド(LA Observed)が伝えたところによると、デイリー・ブリーズ紙で取材にあたった記者の一人、ロブ・クズニア(Rob Kuznia)氏(39)は昨年退職しており、現在は第2次世界大戦中のナチス・ドイツ(Nazi)によるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)をはじめとする、ジェノサイド(集団虐殺)の証言を記録している南カリフォルニア大学ショア財団(USC Shoah Foundation)で広報担当として勤務しているという。

 LAオブザーブドがクズニア氏に接触したところ、同氏は「今はもうジャーナリストではないことに胸が痛むが、ロサンゼルス圏内で家を借りながら新聞の給料でやっていくことは難しかった」と話したという。

 クズニア氏はまた、ショア財団のウェブサイトに掲載されたインタビューで、前職に戻る可能性はないと述べ、ジェノサイドや不寛容との闘いという「最大級の世界的問題」のために働くことに満足していると語った。(c)AFP