【4月25日 AFP】北極の環境問題などを協議する政府間協議体「北極評議会(Arctic Council)」は24日、カナダ北東部バフィン島(Baffin Island)にある北極圏の町イカルウィット(Iqaluit)で会合を開き、環境や北極圏に住む地域が直面している危機に警鐘を鳴らした。

 参加国はカナダ、米国、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、ロシア、スウェーデンの8か国。

 北極圏では地球上のどこよりも速いペースで温暖化が進んでおり、米政府機関が先月発表したところによると、1970年代後半に衛星観測を始めて以来、冬季の海氷面積が最小となった。

 北極圏の温暖化問題に関しては、海面上昇をもたらす氷の溶解に注目が集まる一方、新たな商業航路や海底油田・天然ガス開発への期待も高まっている。

 今回の会合でカナダから議長国を引き継いだ米国のジョン・ケリー(John Kerry)国務長官は「現在、われわれが直面する最大の課題として誰もが口にするのが気候変動だ。控えめに言っても、あらゆる数値は警戒レベルにある」と述べた。

 米国はメタンガス排出およびガスの燃焼や石油探査活動で放出される黒色炭素(ブラックカーボン)を規制する行動計画の枠組みを提出している。ケリー長官は、黒色炭素の温暖化への影響は二酸化炭素(CO2)の2000倍で、永久凍土の溶解で放出されるメタンガスが大気におよぼす悪影響はCO2の20倍だと警告した。

 ウクライナ情勢をめぐる緊張はこの会議にも影響を与え、ロシアはセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相ではなくセルゲイ・ドンスコイ(Sergei Donskoi)天然資源環境相を出席させた。

 ドンスコイ氏は「他の場所で何が起きていようと北極圏での協力は前進している。ここに対立や恐怖を利用する余地はない。ロシアは北極の政治化に反対する」と述べた。(c)AFP/Jo Biddle