【4月24日 AFP】ドイツのヨアヒム・ガウク(Joachim Gauck)大統領は23日、1世紀前に起きたオスマン帝国軍によってアルメニア人約150万人が殺害された事件について「ジェノサイド(集団虐殺)」だと非難するとともに、同盟国だったドイツにも責任があるとの見解を示した。

 事件からちょうど100年を迎えるに当たり首都ベルリン(Berlin)のベルリン大聖堂(Berlin Cathedral)で行われた追悼行事で演説したガウク大統領は、ドイツ政府として初めて公式に「虐殺」という言葉を使用。「われわれドイツ人は、アルメニア人の虐殺に対する連帯責任、そして共有しているであろう罪について、過去を受け入れなければならない」と述べ、当時のドイツ帝国の関与をこれまでになく明確に認めた。

 ガウク大統領はまた、特に第2次世界大戦(World War II)中にナチス・ドイツ(Nazi)が600万人ものユダヤ人を虐殺し、ドイツ政府が過去数十年にわたって公式に贖罪(しょくざい)に努めてきたことを考えれば、アルメニア人虐殺についてもドイツの歴史的な罪を認めなくてはならないと語った。

 ガウク大統領によると、当時のドイツ帝国はオスマン帝国の同盟国として兵士を派遣していたが、この兵士たちは「(アルメニア人の)国外追放の計画にも、そして一部実行にも加担していた」という。ドイツ帝国の外交官や観戦武官たちは、目の当たりにした残虐行為を帰国後に政府へ報告したが、オスマン帝国との関係悪化を懸念した政府はこれを「無視した」という。

 ガウク大統領は、歴史を「否定し、抑圧し、平凡化すること」によって罪から逃れることは不可能だと主張。「ドイツに暮らすわれわれは、恥ずべき先送りなどの厳しい経験を通して、ナチス時代の犯罪を記憶することを身をもって知っている」と述べた。

 アルメニアは、1915年~17年に最大150万人のアルメニア人がオスマン帝国によって組織的に殺害されたと主張している。一方のトルコ側は、侵略してきたロシア軍の側についたアルメニア人がオスマン帝国に反乱を起こした結果、アルメニア人とトルコ人の双方に30万~50万人の死者が出たと反論し、虐殺ではなかったとの立場を主張している。(c)AFP/Deborah COLE