【4月17日 AFP】イタリア警察は16日、アフリカの難民が乗り込んで欧州に向かっていた船で宗教対立が発生し、12人を海に突き落とし水死させた容疑で15人を逮捕したと発表した。攻撃したのはイスラム教徒の一団で、キリスト教徒のグループが犠牲になったとみられる。

 警察によると、イタリアの民間船がある1隻の難民船を救助。それに先立ちこの難民船内では宗教をめぐり激しい衝突が発生しており、ナイジェリアとガーナ出身の12人が水死させられたことが発覚したという。

 シチリア(Sicily)島の港パレルモ(Palermo)の警察は声明で、犠牲になったのは「キリスト教徒、攻撃したのはイスラム教徒」で、「宗教憎悪を動機とする複数の加重殺人」容疑で15人が逮捕されたと発表した。

 約100人が乗っていたとされる同船での宗教衝突は、チュニジアとイタリアの間のシチリア海峡(Strait of Sicily)で発生。救助されたナイジェリアとガーナ出身者のグループの話では、一部のナイジェリア人とガーナ人がキリスト教徒だと明かしたところ、イスラム教徒のグループが威嚇を始めてけんかになったという。

 警察の声明によると、「威嚇行為はエスカレートし、結局そのナイジェリア人とガーナ人12人は全員地中海(Mediterranean Sea)で水死したとみられる」としている。

 残った乗船者は救助されてパレルモへ送り届けられたが、このうち攻撃に及んだとされるコートジボワール、マリ、セネガル出身の15人が逮捕された。

 一方同日には、別の難民船でも多数の犠牲者が出たもよう。イタリアのメディアは、同国を目指していた小型船が転覆、難民41人が行方不明になっており、いずれも水死した可能性が高いと伝えている。

 現地の報道が警察と援助団体の話として伝えたところによると、上空を航行していた飛行機がこの船を発見し、イタリア沿岸警備隊に通報。しかし海軍の船が現場水域に到着した時には4人しか生存していなかったという。救助された4人はナイジェリア、ガーナ、ニジェール出身。同船がリビアを出港した際には、45人が乗船していたと話している。

 地中海では12日にも、リビア沖で難民船が転覆し、400人が死亡したとみられる事故が発生したばかり。(c)AFP/Fanny CARRIER