【4月16日 AFP】米マサチューセッツ(Massachusetts)州の裁判所は15日、殺人罪で起訴されていた元米アメリカンフットボール(NFL)選手のアーロン・ヘルナンデス(Aaron Hernandez)被告に対し、執行猶予なしの終身刑を言い渡した。

 ヘルナンデス被告は2年前に知人男性を殺害したとして第1級殺人罪に問われ、4か月の裁判を経て終身刑を宣告された。

 かつてニューイングランド・ペイトリオッツ(New England Patriots)と5年総額4000万ドルの契約を結んでいたスター候補生のヘルナンデス被告だったが、まさに栄光からの転落となった。

 犠牲となったのは、27歳のオーディン・ロイド(Odin Lloyd)さん。ロイドさんは2013年6月17日、マサチューセッツ州ノースアテルボロ(North Attleboro)の、ヘルナンデス被告の豪邸から約2キロメートルの場所で、血を流して死亡しているところを発見された。ロイドさんはセミプロのフットボール選手で、ヘルナンデス被告の婚約者の姉妹の恋人だった。

 ヘルナンデス被告は、ロイドさんの遺体発見から9日後の2013年6月26日に逮捕された。ペイトリオッツは、それからわずか数時間で同被告を解雇している。

 スーツにネクタイという出で立ちで法廷に姿をみせた25歳のヘルナンデス被告は、陪審から第1級殺人による有罪評決を言い渡されると、顔を横にそむけて唇を固く結び、傍聴席の母親とフィアンセは嗚咽を漏らしたという。

 12人の陪審員は、7日間をかけて全員一致の評決に至り、被告には評決から間もなく、第1級殺人による終身刑が言い渡された。ヘルナンデス被告はまた、銃の違法所持の有罪評決も下されている。

 ヘルナンデス被告には、このほかに別の複数の殺人容疑もかかっており、2012年にボストン(Boston)で、2人の人物を銃で撃って殺害した疑いが持たれている。

 また、ロイドさん殺害については、ヘルナンデス被告の友人2人にも容疑がかかっており、そちらの審理は今後行われる。

 ロイドさんの母親アーシュラさんは、息子を埋葬したときは心臓が「しばらく鼓動を止めた」ような感覚を抱いたと涙ながらに話したが、その一方で、ヘルナンデス被告らを許すとも語っている。

 アーシュラさんは、「あの子のことが恋しくてなりませんが、時が来ればまた会えると思っていますし、そのことが私に生きる力を与えてくれています」と話した。

 そして、息子の命を奪った犯人については、「いつか、誰もが彼らを許せる日が来ることを祈り、願っています」と話した。

 ヘルナンデス被告には控訴する権利がある。(c)AFP