【4月11日 AFP】インドの伝統を破り、高齢者ばかりが暮らす村に入居したウシャ・マントリさん(69)。数世代が一つ屋根の下で暮らすというインドの慣習を破りつつある草分け世代の一人だ。

 彼女は今、インド西部の山岳地帯で幸せに暮らしている。近くにはヒンズー教の寺院もあるし、アーユルベーダのマッサージも受けられる。息子が住むムンバイ(Mumbai)まで車で2時間の距離だ。

「子供には完全に自由でいてほしかったし、私も完全な自由がほしかった」というマントリさんが住むのは、インドで初めて作られた高齢者専用居住区の一つ、「尊厳あるライフスタイル・リタイヤメント・タウン(Dignity Lifestyle Retirement Township)」の中にある自室のワンルームだ。

 9年前に入居したマントリさんは、この控えめなリゾートのような複合施設の初期からの居住者だ。今では60人以上の隣人に囲まれている。インド全土でも、同様の引退者向け施設が増えている。インドではいまだ多くの高齢者が子供の家族と同居することを好むが、それ以外の選択肢に対する需要が高まっている。その背景には国が発展し、子供たちが移住したり、平均寿命が延びたりしたことがある。

 マントリさんの施設には、共用の食堂があり、警備は24時間体制、医師も常駐している。認知症入居者のための特別棟がある一方、健康な高齢者のために月1回のショッピングや、折にふれてのピクニックも用意されている。