【4月10日 AFP】アフガニスタン北部バルフ（Balkh）州の州都マザリシャリフ（Mazar-i-Sharif）で9日に起きた裁判所襲撃事件は、武装集団が6時間にわたり施設内に立てこもって治安部隊と銃撃戦を展開し、地元警察当局によると少なくとも10人が死亡、60人以上が負傷した。

 事件については同国の旧支配勢力タリバン（Taliban）が犯行声明を発表。タリバンは例年決まって春に攻勢をかけるが、今回の襲撃はタリバンの通常の攻勢開始時期を待たずに発生した。今季は地元の治安部隊が、北大西洋条約機構（NATO）による全面支援を受けずにタリバンと戦う初めての春になるはずだった。

 バルフ州警察長官代理のアブドル・ラジク・カデリ（Abdul Raziq Qaderi）氏によると、同日正午ごろ、戦闘服を着た4人の実行犯がマザリシャリフの控訴裁判所の正門から侵入し、施設内で銃を乱射し手投げ弾を投げ始めた。実行犯らは施設内に立てこもり、6時間にわたって多数の地元治安部隊に包囲された末、鎮圧された。

 カデリ氏によると、警備担当者5人と市民5人が死亡し、66人が負傷。地元の公立病院の医師もAFPに対し、この死傷者数を確認し、さらに負傷者の一部は重体だと明かした。負傷者の中には警察官や検察官、裁判所の職員、女性や子どもも含まれているという。

 タリバンのザビフラ・ムジャヒド（Zabihullah Mujahid）報道官はAFPの電話取材に対し、「われわれの聖戦士らがマザリシャリフ市で殉教攻撃を行った」と話し、同組織による犯行を認めた。

 アフガニスタンでは、米主導の多国籍軍が13年間に及んだ対タリバン作戦を終えて前線からの撤退を進めており、今回の事件で同国の治安情勢の不安定さが改めて強調された。(c)AFP/Hamid Fahim