【4月9日 AFP】イラクのハイダル・アバディ(Haider al-Abadi)首相は8日、同国の「次なる戦い」はイスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」からのアンバル(Anbar)州奪還を目指すものとなると宣言した。先日解放を宣言した北部ティクリート(Tikrit)に続く目標について、同首相がこれまでに発表した中で最も直接的な声明となった。

 イラク首相府によると、首都バグダッド(Baghdad)の西に位置するアンバル州の基地を訪れた首相は、「われわれの次の戦いは、ここアンバル州の完全な解放を目指したものとなる」と述べた。

 首相は先週、イラク軍がティクリートを奪還したと発表。昨年6月にイラク国内の広範囲にわたる地域を掌握したISとの戦いで、同国軍側が収めた最大の勝利となった。

 だが一方で、ティクリート奪還作戦は、アンバル州など別の地域で政府軍が直面する問題を改めて浮き彫りにした。

 その1つが、市内に身を潜める過激派構成員らの一掃だ。内務省によれば、首相がティクリート奪還を発表した後も、市内ではISとの戦闘が発生している。直近では、発表から1週間以上たった7日にも交戦があったとされる。

 また、IS一掃作戦にさまざまな勢力が参加していることから、指揮統制面での課題も生まれている。特にティクリートでの作戦実行時のように、民兵側が国軍を過小評価し、軍が民兵に対して懐疑的な状況では、問題は大きい。

 ティクリート中心部の店舗では、一部のイスラム教シーア派(Shiite)民兵による略奪が発生した。ハリド・オベイディ(Khaled al-Obeidi)国防相は、2000人近くからなる「複数の集団」が奪還後の市内に入り「破壊行為や放火」を始め、住宅67軒と店舗85軒が焼き払われたと説明。これを「容認し難い」状況だとした一方で、最終的にはより大きな損失が出ていた可能性もあると述べた。(c)AFP/W.G. Dunlop and Karim Abou Merhi