【4月7日 AFP】イエメン南部で6日、イスラム教シーア派(Shiite)系武装組織フーシ派(Huthis)と政府側民兵との間で激しい衝突が発生し、過去24時間の死者は140人を超えた。当局が明らかにした。

 アラビア半島(Arabian Peninsula)の貧困国イエメンでは現在、隣国サウジアラビア率いる合同軍がイランの支援を受けているフーシ派に対する空爆を行っており、援助活動家らは同国の危機的状況に警鐘を鳴らしている。

 当局者らの話によると、同国南部の主要都市アデン(Aden)で、フーシ派とアブドラボ・マンスール・ハディ(Abd-Rabbo Mansur Hadi)暫定大統領派が非常に激しい戦闘を繰り広げたという。

 過去24時間の犠牲者のうち、3分の1を超える53人が、フーシ派がアデンの港を制圧しようとした際に殺害されたとしている。同港は海に突き出した死火山のふもとにある。

 またアデンの北にある町ダレ(Daleh)では、一晩のうちに少なくともフーシ派19人、ハディ暫定大統領派15人が死亡した他、南部のアビヤン(Abyan)州でも7人が死亡したとされる。

 ハディ暫定大統領派は現在、フーシ派を支援しているとして非難されているアリ・アブドラ・サレハ(Ali Abdullah Saleh)前大統領派の拠点を包囲している。

 またアビヤンに近いラヘジ(Lahj)州のアルアナド(Al-Anad)空軍基地と軍のキャンプに対するサウジ合同軍による空爆で、民兵10人が死亡。またシャブワ(Shabwa)州でも多数の死者が出ている。

 イエメン北部の山岳地帯出身のフーシ派が首都サヌア(Sanaa)を掌握した後、国連(UN)がイエメンの正当な指導者と認めているハディ氏は今年2月にアデンに逃れた。しかしフーシ派がアデンに向かって進撃したため3月にはサウジアラビア入りし、これがサウジ率いる合同軍による軍事作戦の展開につながった。合同軍による攻撃は12日目を迎えた。

 主要な海運ルートに近く、産油国サウジアラビアと国境を接している戦略上重要なイエメンは、多くの派閥に分断された内戦の様相をますます強めている。

 この戦闘状態が、フーシ派、ハディ暫定大統領派、サレハ氏派、南部の分離独立派、イスラム教スンニ派(Sunni)の諸部族、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系といった、さまざまな武装勢力の流入を招いている。(c)AFP/Nabil Hassan with Fawaz al-Haidari in Taez