【4月3日 AFP】1月に起きたイスラム過激派によるパリ(Paris)連続襲撃事件で、襲撃されたスーパーの冷蔵室に隠れて助かった6人が、事件中にテレビの生中継で居場所を放送されたとして、報道機関を告訴した。

 1月9日、パリのユダヤ系食料品店「ハイパーキャッシャー(Hyper Cacher)」にアメディ・クリバリ(Amedy Coulibaly)容疑者が押し入って4人を殺害、他の客らを人質に取って立てこもった。訴訟を起こした6人の弁護士パトリック・クラグマン(Patrick Klugman)氏は、放送された事件現場の映像は「最も基本的な注意を怠り」、店内でまだ生存していた人々を危険にさらしたと語った。

 クラグマン氏は、フランスの24時間ニューステレビ局BFMTVを名指しで批判した。同局は立てこもり事件の最中に生放送で、3歳の子どもと生後1か月の赤ちゃんを含むグループが食料品店の従業員に連れられて冷蔵室に隠れていることを報道した。

 またクラグマン氏は2日、AFPの取材に対し、他の複数の報道機関が立てこもり事件の最中に治安部隊の動きを報道していたことについて、「この種の状況におけるメディアのリアルタイム報道のそのやり方は、犯罪を教唆することに等しい」と強く非難した。

 さらにクラグマン氏は「もし、クリバリ容疑者がBFMTVで報道されている内容をリアルタイムで察知していたら、(隠れていた人たちの生命は)危険にさらされていたかもしれない」と指摘した。クラグマン氏によると、クリバリ容疑者は他のテレビ局でニュースを確認しており、BFMTVの記者とも連絡を取っていたという。

 告訴状は、報道機関が安全手順を故意に無視して他人の生命を危険にさらしたと訴えている。告訴状の内容で有罪となった場合、1年以下の禁錮刑と1万5000ユーロ(約200万円)以下の罰金刑を科される可能性がある。(c)AFP