【3月28日 AFP】カンボジアの裁判所は27日、違法な臓器売買に関与したとして起訴された3人の裁判で、主犯の女に禁錮15年、共犯の2人に禁錮10年の有罪判決を言い渡した。被告らは貧しい人たちに声をかけ、腎臓を隣国タイで人工透析を受けているカンボジアの富裕層の患者に売るよう強要していた。臓器売買で有罪判決が下されたのはカンボジアでは初めて。

 首都プノンペン(Phnom Penh)の地裁で同日に行われた裁判では、被告の女(29)に「臓器摘出を目的とした人身売買」の罪で禁錮15年の判決が言い渡された。また、この女の継父(49)と義弟(22)は共犯として、それぞれ禁錮10年の判決を受けた。継父はすでに保釈されているものの、義弟は現在も逃亡中だ。裁判所はこのほか被告全員に対し、被害者1人当たり7000ドル(約83万円)の支払いを命じた。

 人工透析を受けている裕福なカンボジア人のためのグループから腎臓を売るよう強要されたと、いとこ同士の男性2人が警察に訴え出たことをきっかけに、主犯の女とその継父は昨年7月に逮捕された。腎臓の摘出手術はタイの病院で密かに行われたという。

 一方、AFPは昨夏、問題のグループに腎臓を売った男性(18)にインタビューしていた。プノンペン郊外の今にも崩れ落ちそうな掘っ立て小屋に住んでいたこの男性は、ひどい貧困で借金もかさんでいたため、2012年に腎臓を3000ドル(約36万円)で売ったと語った。

 貧困に苦しむ人が多いカンボジアでは人身売買がまん延しており、警察当局は定期的に、売春や強制結婚、強制労働などに関係する人身売買の捜査を実施している。ただ、同国で臓器密売に関与した者が裁かれたのは今回が初めて。違法な器臓売買が行われるケースは、カンボジアよりもインドやネパールの方が多い。(c)AFP