【3月28日 AFP】乗客乗員150人が死亡したドイツ格安航空会社ジャーマンウイングス(Germanwings)9525便の墜落で、ドイツ検察当局は27日、同機を仏アルプス(French Alps)に意図的に墜落させたとされるアンドレアス・ルビッツ(Andreas Lubitz)副操縦士が、深刻な病状を会社に隠していたと公表した。

 仏捜査当局は、回収されたボイスレコーダー(音声記録装置)から、ルビッツ副操縦士が機長を閉め出し、操縦室内に一人きりになった際に意図的に同便を山中で墜落させた、自殺と集団殺人の疑いがあるとしている。

 マニュエル・バルス(Manuel Valls)仏首相は、「墜落は、われわれにとって説明不能な、罪深く狂気的な自殺行動である可能性が高くなってきた」と語った。

 独検察当局は、ルビッツ副操縦士の自宅を家宅捜索した結果、「副操縦士が病気であったことと、必要な治療方法を示す医療関係の書類が発見された」と述べた。発見された書類の中には、墜落の日も含む、引き裂かれた病欠用書類もあったという。検察当局は、今のところ同副操縦士の病名を公表していない。

 ドイツ紙ビルト(Bild)は、同国の航空規制当局であるドイツ連邦航空局(LBA)の資料をもとに、ルビッツ副操縦士が「深刻なうつ」で2009年に精神医学的な治療を受け、その後も医師によるサポートを受けていたと伝えていた。

 同紙はまた、治安関係者の証言として、ルビッツ副操縦士が恋人と「恋愛関係の深刻なトラブル」を抱え、落ち込んでいたと伝えた。

 ルフトハンザ航空(Lufthansa)のカールステン・シュポア(Carsten Spohr)最高経営責任者(CEO)は、ルビッツ副操縦士が2008年に操縦士訓練を開始したが、その後「一定の中止期間」を経て訓練を再開し、2013年にエアバス(Airbus)A320型機の資格を取得したと述べた。ビルト紙は、ルビッツ副操縦士が、訓練を中止していた期間中に「うつ病と不安発作」を患っていたと伝えた。

 ルビッツ副操縦士は、ドイツのラインラント(Rhineland)地方のモンタバウアー(Montabaur)で両親とともに暮らしており、同便の行き先であったデュッセルドルフ(Duesseldorf)にもアパートを持っていた。

 デュッセルドルフの検察当局は、2軒の住宅の捜索で発見された証拠が、ルビッツ副操縦士が「会社や同僚に病気であることを隠していた事実を裏付けている」と述べた。

 検察当局では、ルビッツ副操縦士による遺書や自白、または「政治的・宗教的」な動機などは見つかっていないものの、「押収した証拠を調査するには、あと数日はかかる」としている。(c)AFP/Celine Jankowiak with Deborah Cole in Berlin