【3月21日 AFP】イエメンの首都サヌア(Sanaa)で20日に発生したイスラム教シーア派(Shiite)のモスク(礼拝所)2か所での自爆攻撃は、犠牲者がこれまでに142人に達し、イスラム過激派による攻撃としては同国史上最悪規模のものとなった。

 首都サヌアを支配下に置いたイスラム教シーア派(Shiite)の民兵組織「フーシ(Huthis)」の支持者を狙った攻撃とみられている。イスラム教スンニ(Sunni)派の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」が犯行声明を出し、イエメンにおける力を見せつけた。イエメンで起きた攻撃についてISが犯行声明を出したのは今回が初めて。

 目撃者によると、サヌア南部のバドル(Badr)モスク内で襲撃犯1人が自爆し、モスクで礼拝していた人々が外へ逃げようとしたところ、門のそばで2回目の爆発があった。地元医療関係者によると、バドルモスクの指導者も死亡した。

 さらに国営サバ(Saba)通信によると、サヌア北部のハシュシュ(Al-Hashush)モスクで3人目の襲撃犯が自爆し、そのモスクの外で4人目の襲撃犯が自爆したという。サバ通信は現在、フーシがコントロールしている。

 事件現場は黒焦げの遺体が散乱する血の海と化した。無事だった人たちは負傷者をトラックに乗せて病院に運んだり、ばらばらになった遺体を拾い集めたりした。

 イエメン保健省のナシュワン・アタブ(Nashwan al-Atab)氏はAFPに対し、今回の一連の攻撃で142人が死亡、少なくとも351人が負傷したと述べた。フーシ系のテレビ局は病院が緊急の献血を呼びかけていると伝えた。

 フーシに近い筋によると、フーシの拠点になっているイエメン北西部のサアダ(Saada)でもモスクを狙った自爆攻撃があったが、厳重に警備されていたため自爆犯がモスクに入ることができず、モスクの前で自爆して自爆犯だけが死亡した。