【3月20日 MODE PRESS】1947年のメゾン設立以来、世界中の人々を魅了している老舗ファッションブランド「クリスチャン・ディオール(Christian Dior)」。ブランド設立以来、初めてカメラの潜入を許され撮影した映画『ディオールと私』は、2012年新デザイナーに就任したラフ・シモンズ(Raf Simons)のデビューコレクション発表の舞台裏に追った本作は、『ダイアナ・ヴリーランド 伝説のファッショニスタ』や『ヴァレンティノ:ザ・ラスト・エンペラー』など、ドキュメンタリー映画を数多く手がけたフレデリック・チェン(Frederic Tcheng)監督による最新作だ。本作に込めた想いや、特別なエピソードなど監督にインタビューした。

■インタビュー:フレデリック・チェン(映画監督)

―過去にファッションやアートなどのドキュメンタリーを撮影されていますが、今回ディオールを撮影しようと思ったきっかけは?

これまでにやったことがないような、モダンなものを表現したいと考えていました。これまでドキュメンタリーはたくさん手がけてきましたが、ファッションの歴史など過去にまつわるものが多かったんですね。60年代へのオマージュとして「ヴァレンティノ(Valentino)」に関する映画や、イタリア映画界の巨匠についての映画などを手がけてきました。また20世紀のスタイルの探究として伝説の編集者ダイアナ・ヴリーランド(Diana Vreeland)も取り上げました。そんななか偶然、「ディオール」で働いている方たちにお会いしたとき、ラフ・シモンズが「ディオール」のクリエイティブ・ディレクターに就任するという話を聞いて、現在と未来につながりがあるようなテーマに興味をそそられました。

 それにラフは非常に未来思考型の人間です。彼は未来にとても関心を持っています。彼が「ディオール」でやろうとしていたことというのは、歴史に向き合いながらも、伝統から抜け出た新しいものを創り出すことだと思いました。私にとって、モダンなテーマを探すことは非常に元気が湧いてくることでしたし、制作もチャレンジングなものでした。