【3月17日 AFP】体外受精児と同性カップルによる養子縁組をめぐり、英歌手エルトン・ジョン(Elton John)さん(67)が不買を呼び掛けたイタリアの高級ファッションブランド「ドルチェ&ガッバーナ(Dolce & Gabbana)」のデザイナー2人が16日、ジョンさんを権威主義的で無知、偽善的だと反撃した。著名人らを巻き込んだこの大論争は、収束の兆しすら見えていない。

 事の発端は「ドルチェ&ガッバーナ」のデザイナーの一人、ドメニコ・ドルチェ(Domenico Dolce)さんがあるインタビューで、体外受精(IVF)によって生まれた子どもを「人工的」と発言したことにあった。

 これを受けて、パートナーのデービッド・ファーニッシュ(David Furnish)さんとの間に、体外受精後に代理母を通じて生まれた2人の息子を持つジョンさんが、「ドルチェ&ガッバーナ」のボイコットを呼び掛けたことで大論争に発展した。

 これに対し、やはり同性愛者で2005年まで長期にわたって交際していたドルチェさんとステファノ・ガッバーナ(Stefano Gabbana)さんは、偏った見方をしているのは自分たちではなくジョンさんの方だと反論した。

 ドルチェさんは、自分は体外受精容認派ではないという自身の発言は、他の人々の選択を非難するものではないと訴えた。ドルチェさんは声明で、「私はシチリア(Sicily)島に生まれ、母1人と父1人、そして子どもたちからなる伝統的な家族の一員として育った」「私はそんな環境で育ったというだけで、私が異なる環境を容認しないということではない。私個人の見解を述べただけであって、他の人々の選択や決断についてとやかく言うつもりはなかった」と釈明した。

 ジョンさんの非難に激怒したのがガッバーナさんだった。ジョンさんのインスタグラムのページに、「#fascist(ファシスト)」や「#boycotteltonjohn (エルトン・ジョンをボイコットせよ)」といったコメントまで投稿した。ただそれらのコメントは後に削除され、16日に冷静な批判を展開した。

「こんなことは予期していなかった。エルトン・ジョンのような知的だと思っていた人からこんなコメントが出るとは。知的だと『思っていた』人と強調しておく」「つまり理解と寛容を説いておきながら、他人を攻撃するなんて?」「違う意見を持っているというだけの理由で?これは民主的な、あるいは賢明な考え方だろうか?いやこれは無知というものだ。他人は違う意見を持っているかもしれないが、他人の意見も自分の意見同様に尊重すべきであるという事実を無視している」「物事の権威主義的な見方だ。同意してもらいたい。さもなければ私はあなたを攻撃する」(c)AFP/Angus MACKINNON