【3月17日 AFP】イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は総選挙を翌日に控えた16日、もし自身が再選されればパレスチナ国家はあり得ないと語った。右派有権者の票を取り込もうという土壇場の試みとみられる。

 イスラエルの解散総選挙は過去3年間で2回目。投票は17日午前7時(日本時間同日午後2時)から始まる。識者らは今回の選挙について、ネタニヤフ政権の信任を問う国民投票という意味合いが強いとみている。

 直近の世論調査によると、ネタニヤフ首相率いる右派リクード(Likud)は中道左派のシオニスト・ユニオン(Zionist Union)の後を追う形となっている。同首相は、もし他党が勝てば国家の安全保障が損なわれることになり、イスラエルによるエルサレム(Jerusalem)完全支配も放棄されるだろうと述べた。

 連続3期目の首相就任を目指すネタニヤフ氏は、パレスチナ人が東エルサレムを首都とすることを認めず、さらに「数千軒」の入植住宅を建設すると公約している。一方パレスチナ側は東エルサレムを将来のパレスチナ国家の首都にしたい考えで、国際社会はイスラエルによる入植住宅の建設継続が和平への障壁になっているとして強く反発している。

 ネタニヤフ首相は選挙期間中一貫して、シオニスト・ユニオンの指導者であるイツハク・ヘルツォグ(Isaac Herzog)氏とかつてパレスチナとの和平交渉を担当していたツィピ・リブニ(Tzipi Livni)氏が、エルサレムはイスラエルの「不可分の首都」であるというイスラエルの主張を取り下げる意向だとして、繰り返し非難していた。

 しかしネタニヤフ氏の最も強烈な意見は、右派オンラインメディアのNRGの取材に応じた際に飛び出した。再選されればパレスチナ国家の樹立はあり得ないという考えは本当かという質問に対し、同氏は「全くその通りだ」と言い切った。同氏は2009年には、2国家の共存という考えへの支持を表明していた。

 同氏はその後公共ラジオでも、「情勢は変化した」と述べ、「領土を割譲すれば全てイスラム過激派に掌握されかねない」として、2国家共存という解決策はもはや不適切だという見解を示した。(c)AFP/Hazel Ward