【3月13日 AFP】米グーグル(Google)は12日、同社が提供するサービス「ストリートビュー(Street View)」に、世界最高峰エベレスト(Everest)のネパール側地域の仮想ツアーを行える機能を追加した。

 ユーザーは、エベレストがそびえるサガルマータ(Sagarmatha)国立公園内で、雪をかぶった山頂の下を凍てつく青い川が流れ、僧侶が伝統的な音楽を奏で、ヤクの放牧者が急勾配の岩だらけの山道を追って行く様子を見ることができる。

 単眼レンズの三脚カメラ2台を持ち、レンズ15枚を搭載した特注「トレッカー」ユニットを背負ったチームは、ヒマラヤ山脈東部にあるシェルパ(Sherpa)族の村々を歩き、4万5000以上のパノラマ画像を撮影した。

 プロジェクトには、カトマンズ(Kathmandu)を拠点とするベンチャー事業ストーリー・サイクル(Story Cycle)と、エベレスト登頂に21回成功するという記録を打ち立て引退したネパール人登山家アパ・シェルパ(Apa Sherpa)さんが協力。昨年3月に11日間かけて僧院、学校、診療所などの内部を三脚カメラと魚眼レンズを使用して撮影した。

 12歳で父親を亡くして学校を中退、ポーターとして働かなければならなかったアパ・シェルパさんは「エベレストは世界中の人たちに知られているが、そこにある村落の苦しい生活はほとんど知られていない」と語った。「ストリートビューのお陰で、誰もがこうした村を見ることができ、村人たちへの支援が必要なことが分かるでしょう。学校と病院を建てる資金がさらに集まることを期待しています」

 ストリートビューでは、何千枚もの75メガピクセルの写真を繋ぎ合わせて作られた360度画像のスライドショーを閲覧したり、インターネット上の地図のある地点をクリックしてその場所の画像を見たりできる。2007年のサービス開始以来、南米アマゾン(Amazon)の密林やカナダ北極圏のツンドラなど、遠隔地にある世界の景勝地が収められている。(c)AFP/Ammu KANNAMPILLY