【3月6日 AFP】エボラウイルスが猛威を振るったリベリアで5日、感染が確認されていた最後の患者が退院した。また世界保健機関(World Health OrganizationWHO)は4日、リベリアで今月1日までの1週間に報告された新規患者数は、これまでの9か月間で初めてゼロだったと発表した。

 首都モンロビア(Monrovia)郊外ペインズビル(Paynesville)に中国の支援で設置されたエボラ治療施設から、2週間前に入院した女性患者が同日退院。医療関係者や政府当局者、援助活動家らが拍手で見送った。

 女性の退院を受け、リベリア保健・社会福祉省のトルベルト・ニェンスァ(Tolbert Nyenswah)副大臣は記者団に対し、「全国で最後に確認されたエボラ患者だ」「新しい患者はこれまで13日間確認されていない。リベリアにとって素晴らしい日だ」と発表した。

 WHOは4日遅く、今月1日までの1週間に「新規患者は確認されていない」という報告書を出していた。WHOが先週全国各地の45人の感染疑い例についてウイルス検査を行ったところ、陽性患者は一人も見つからず、これは昨年5月26日以来初めてだとしている。

 相次ぐ内戦で保健医療体制が機能不全に陥っていたリベリアで感染拡大がピークを迎えた際には、どの診療所も患者であふれて新規患者を追い返さざるを得ず、治療を受けられないまま亡くなった人も多かったが、同国と諸外国の対応がエボラの拡大を食い止める上で効果を発揮した。

 WHOの調べでは、2013年12月以降にエボラウイルスに感染した人は2万4000人近くに上り、その大半がリベリアとギニア、シエラレオネの患者で、うち9807人が死亡したという。

 先週はギニアとシエラレオネの状態の方が深刻で、両国を合わせた新規患者数は132人に上ったと報告されている。両国では地元コミュニティーの中で死亡するエボラ患者が依然多く、WHOは「早期の隔離と治療の必要性がまだ十分に理解されておらず、その実施が徹底されていない」と警告している。

 前週ギニアで確認されたエボラ出血熱による死者32人のうち、治療施設ではなくコミュニティー内で亡くなった人が半数を超えていた。一方シエラレオネでは、この割合は16%にとどまった。

 また両国では不安全な埋葬も続いており、そのような例が先週だけで16件も報告されているという。(c)AFP/Zoom Dosso