【3月5日 AFP】イラク軍が開始した、イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」が掌握した都市ティクリート(Tikrit)の奪還を目指した大規模な軍事作戦3日目となる4日、同国軍側の部隊はISに対する包囲作戦を展開している。一方、人権団体からは、市内の住民の安全を懸念する声も上がっている。

 作戦の実行にあたるイラク軍の上級司令官によれば、作戦な現在、昨年6月から同市を支配下に置いているISへの武器・戦闘員の供給ラインの遮断に焦点を絞って進められている。

 作戦には治安部隊の他、イスラム教シーア派(Shiite)の民兵や志願兵らも参加。さらに、イラク軍の戦闘機やヘリコプターや、隣国イランも支援している。米軍統合参謀本部のマーチン・デンプシー(Martin Dempsey)議長は3日、イランの支援について「問題となるとすれば、宗派間抗争が起きた場合のみだ」と述べた。

 だが、過去に行われた軍事作戦では宗派間の対立を背景とした報復殺人が起きていたこともあり、国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)などの人権団体らは、今回の作戦が宗派間の抗争の激化につながる可能性への懸念を表明している。

 一部の指導者や戦闘員はこの作戦について、昨年6月に近くのスペイサー(Speicher)軍事基地で主にシーア派イスラム教徒からなる新兵ら数百人がISによって殺害された事件に対する報復の機会だと捉えていると表明していた。この大量虐殺については、一部のスンニ派(Sunni)部族民も関与していたと非難する声も上がっている。(c)AFP/Hassan al-Obaidi