【3月4日 AFP】フランスの裁判所は3日、郵便物1万3000通を盗み、10年以上にわたって屋根裏に隠していた強迫性障害の元郵便局員(62)に、執行猶予付きの禁錮6月、罰金4000ユーロ(約53万円)の有罪判決を言い渡した。

 被告はフランス北東部の在住で、すでに退職している。警察が発見した郵便物は書簡1万3694通、はがき約6000通に及んだという。

 被告が勤務していたフランス郵政公社(La Poste)は、被告が盗んだ郵便物を全て返却することを約束した。最も古い郵便物は2001年のものだった。

 被告が郵便物を盗んでいるという疑惑は数年前からあったという。フランス郵政公社は2011年、郵便物に粉末を詰めたおとり調査を行い、手や衣服に粉が付いた被告を現場でおさえた。

 被告の弁護士のダビド・ジャンメール(David Jeanmaire)氏はAFPの取材に「(被告は)収集癖のある強迫性障害」に苦しんでいたと語った。 

 また同氏は「(被告は)警察に対し、光る物を収集するカササギのように、ある特定の色と形を持つ郵便物にひきつけられたと供述している。もし金を盗みたいだけだったら、郵便物を全て開封していたはずだ。それに何より、もしそうだったなら郵便物を全て処分していたはずだ」と述べ、被告にとって郵便物とは「旅行した気分を味わえる」方法だったと説明した。

 フランス郵政公社の弁護士も「(被告の)行動は少々興味深い」と述べた。ただし、一方で被告には物質的な関心もあり、郵便物から盗んだ金を使って自動車に給油していたと補足した。(c)AFP