【2月26日 AFP】(一部更新)高級筆記具メーカー「モンブラン(Montblanc)」は、2011年の東日本大震災で大津波に襲われながら1本だけ残った岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」を素材に用いた万年筆を、震災から4年を迎える3月11日に発売すると発表した。

 この万年筆は、震災の日付にちなんで113本限定で製作された。価格は1本48万1000円(税別)。売り上げの2割は復興支援のため地元に寄付される。

 陸前高田市には震災前、350年にわたって植林されてきた約7万本の松が茂る高田松原があったが、大津波を生き延びたのは「奇跡の一本松」だけだった。その一本松も後に枯死が確認され、心棒で補強するなどの保存処理が施されてモニュメントとして元の場所に立てられている。

 保存整備のため一本松が切り倒された際、陸前高田市の戸羽太(Futoshi Toba)市長が日本法人のモンブランジャパンに、震災が忘れ去られることのないよう万年筆の素材に使ってほしいと依頼していたという。

 25日に開かれた記者会見で戸羽市長は「絶望の中、希望や奇跡の言葉が使えるのはあの松だけだった。モンブランに応援してもらい、世界に震災を認識してもらいたい」と述べた。(c)AFP