■さまざまな「胎盤レシピ」

 胎盤食を実行した女性の人数や効果に関する科学的な調査研究結果はない。だが、セレブを含む一部女性たちの間では、もはやトレンドを通り越して定着しつつある。

 映画『クルーレス(Clueless)』で一躍人気を博した女優のアリシア・シルヴァーストーン(Alicia Silverstone)さんもその1人で、効果に太鼓判を押す。また、米テレビドラマ「マッドメン(Mad Men)」への出演にちなみ米メディアから「マッド・マム(Mad Mom)」とあだ名される女優ジャニュアリー・ジョーンズ(January Jones)さんも、胎盤食を試した。

 流行は料理本にも及び、インターネット上には「胎盤レシピ」を試した新米ママたちのブログが登場。「胎盤ラザニア」「胎盤タコス」「胎盤チョコレート・トリュフ」などの作り方が並んでいる。

 7人の子を持つキャサリンさんは最後の出産の後に胎盤食を試そうと思い、自ら胎盤をさいの目切りにして、アーモンドミルク、蜂蜜、ブルーベリーと混ぜ、「胎盤スムージー」を作った。スムージーにしたのは「味をごまかす」ためだという。1回で飲み切れなかったため、後でまた飲もうと残りは冷凍保存したという。

 チョコレートと混ぜてトリュフにしたという3児の母メリッサさんは、「ビタミン剤だとすぐ飲み忘れちゃうけれど、チョコレートなら好きだから忘れない」と話す。

 助産師のブッカーさんによれば、胎盤食には心理的な効果もあるという。米国の出産女性の19%が苦しむという産後うつを予防する効果があるというのだ。

 一方で、科学者による包括的な研究は始まったばかりだと、ネバダ大学(University of Nevada)のダニエル・ベニシェク(Daniel Benyshek)氏(医療人類学)は言う。同氏によると、自分の胎盤を食べたのは1970年代の米国の女性たちが最初だと考えられている。ただ、中国では古くから、乾燥させた胎盤が伝統薬として治療師たちの間で珍重されている。(c)AFP/Raphaëlle PICARD