【2月20日 AFP】イングランド・プレミアリーグのチェルシー(Chelsea)は19日、フランス・パリ(Paris)市内の地下鉄で起きた人種差別事件の調査に伴い、男性3人に対し本拠地スタンフォード・ブリッジ(Stamford Bridge)での試合観戦を一時禁止すると発表した。

 17日に行われたサッカー欧州チャンピオンズリーグ2014-15(UEFA Champions League 2014-15)のパリ・サンジェルマン(Paris Saint-GermainPSG)対チェルシー戦を前に、試合会場のパルク・デ・プランス(Parc des Princes)へ向かうチェルシーのサポーターとみられる一団が、黒人の乗客を車両の外へ押し返した。

 同市中心部のリシュリュー・ドゥルオ(Richelieu-Drouot)駅で起きた人種差別をとらえた映像には、「俺たちはレイシスト(人種差別主義者)、俺たちはレイシスト、これが俺らのやり方」とチェルシーのサポーターが歌う声がはっきりと残っている。

 チェルシー側は広く非難されているこの件に対し、3人のサポーターを特定し、調査の結果が出るまで試合観戦を一時的に禁止すると発表した。

 迅速な対応により、このサポーターたちは「平等のための試合」と銘打たれた21日のスタンフォード・ブリッジでのバーンリーFC(Burnley FC)戦の観戦が不可能となった。有罪となれば、このサポーターたちは生涯入場禁止となる。

 パリの検察はこの日、被害者とされる人物から正式な苦情の申し立てを受けたと発表した。報道によれば、この人物は33歳のスレイマン・S(Souleymane S)さんとされている。

 仏大衆紙パリジャン(Le Parisien)のインタビューで、モーリタニア系フランス人のこの男性は、事件を起こした人物たちの投獄を求めた。

 駅近くの会社で社長を務める男性は同紙に対し、「彼らを、この英国人サポーターを捜し出さなければならない。罰を受けさせ、収監しなければならない。処罰されないのはあってはならないことだ」と語った。

「彼らが私の肌の色を理由に手を出したのは分かった。車両に乗りたかったのに英国人のサポーターの一団が私を押し返した。それでも乗ろうとしても、彼らはまた私を押し出したんだ。彼らは英語で何かを言っていたが、彼らがなんと言ってるかは分からなかった」

「このことについては誰にも言わずに帰宅した。妻にも子供にも言わなかった。子供になんと言えばいいんんだ?黒人だから父さんは地下鉄で押し出されんだとでも?」

 フランス当局は英国当局とともに捜査を行っており、「公共交通機関での故意による人種差別的暴力」は、3年以下の懲役と最高4万5000ユーロ(約600万円)の罰金が科される。(c)AFP