【2月18日 AFP】製薬大手ファイザー(Pfizer)の禁煙薬「チャンティックス(Chantix、一般名:バレニクリン Varenicline)」が、たばこを今すぐにはやめられない一部の喫煙者を禁煙に導く一助となることを示した研究論文が、17日の米国医師会雑誌(Journal of the American Medical AssociationJAMA)に掲載された。

 今回の研究は製造元のファイザーから資金供与を受け、米非営利医療機関メイヨークリニック(Mayo Clinic)の医師らが率いる国際チームが行った。実験には、今後30日以内に禁煙する意思はないが、3か月以内には本当にたばこをやめたいという喫煙者1500人以上が参加した。研究チームは、無作為に割り当てた一部の参加者にバレニクリンを6か月間服用させ、その他の参加者にはプラセボ(偽薬)として糖の錠剤を与えた。

 6か月後、バレニクリンを服用させた参加者の禁煙達成率は、プラセボを与えた参加者の4倍以上に達した。禁煙を達成した人の割合は、プラセボグループでは全体の6.9%だったのに対し、投薬治療グループでは32.1%だった。さらに1年後の禁煙達成率は、プラセボグループ9.9%に対し、投薬治療グループは27%で、2倍以上の開きがみられた。

 バレニクリンは、吐き気から自殺念慮まで広範な副作用を伴うため、同薬の補助では禁煙にまで至らなかった参加者が大半だった。だが、長期的な習慣の変化に関しては、バレニクリンにはプラセボより高い補助効果があることが今回の分析で判明したと、研究チームは指摘している。

 論文主執筆者で、メイヨークリニック・ニコチン依存症センター研究担当副所長のジョン・エバート(Jon Ebbert)氏は「30日以内に禁煙する気はないが、禁煙の試みに向けて努力する中で喫煙習慣を軽減することに前向きに取り組みたいと思っている喫煙者約1400万人に、今回の研究によって治療の道が開けることが、この研究の有意義な点だ」と語る。

 続けて同氏は「完全な禁煙に至る前段階として喫煙を減らそうとする場合、バレニクリンは禁煙補助効果をもたらす可能性があることを、喫煙者に周知する必要がある。バレニクリンは、長期的な禁煙状態を増やすのに効果的で安全な方法の一つだ」と述べた。

 今回の研究論文には、米バーモント大学(University of Vermont)、英ロンドン大学(University of London)、米ネブラスカ・メディカルセンター(Nebraska Medical Center)などの共同執筆者が名を連ねている。(c)AFP