【2月17日 AFP】デンマークの首都コペンハーゲン(Copenhagen)で文化センターとシナゴーグ(ユダヤ教の礼拝堂)が連続して銃撃され2人が死亡した事件で、射殺された実行犯として報じられているパレスチナ系デンマーク人、オマル・フセイン(Omar El-Hussein)容疑者(22)は、今回の事件を起こす前に何回か違法行為をはたらいていた。

 デンマーク国民は、自国で生まれた若者が冷血な殺人犯に変貌した理由を理解するのに苦しんでいる。捜査当局は、2週間前に出所したばかりとされる男が、首都で凶悪事件を引き起こすに至った経緯の解明に取り組んでいる。

 AFPの取材に応じたフセイン容疑者を知る人々は、容疑者は賢く面倒見が良い一方で、暗い一面もあったと話している。元級友らは、同容疑者には攻撃的な傾向があったと言い、そうした気質が薬物の乱用によって深刻化したのかもしれないと語っている。

 現地紙ポリティケン(Politiken)によるとフセイン容疑者は、ヨルダンの難民キャンプを経由してデンマークに逃れてきたパレスチナ人の両親の下、コペンハーゲンで生まれた。中東にルーツを持つことが、容疑者のものの見方の形成に深く影響したとみられている。

 別の級友はタブロイド紙エクストラ・ブラデット(Ekstra Bladet)に対し「彼はイスラム教について語るのが好きだった。特にイスラエルとパレスチナの紛争について、よく話していた。ためらいなく公然と、ユダヤ人が嫌いだと言っていた」と述べた。

 それでもフセイン容疑者を知る人たちの中で、イスラムと言論の自由に関する討論会の会場とシナゴーグを襲って2人を殺害した末に警察との銃撃戦で死亡した容疑者と、自分たちの記憶にある男を結びつけることができる人物はほとんどいない。

 級友だった女性は、2013年に学校の前で交通事故に遭った際、フセイン容疑者が急いで駆けつけてくれた時の事を回想した。しかし、その数日後、フセイン容疑者はコペンハーゲンの電車の車内で19歳の男性の脚を刺した。この事件で2年間服役し、出所したのが今回の事件の2週間前だった。デンマークメディアは、同容疑者が学校でその気になれば良い成績を収められた人物だったと報じているが、知人の一人はポリティケン紙に対し、容疑者が「非常に柄の悪い仲間」とつきあうようになり、マリフアナを乱用するようにもなったと語っている。