偏見からの解放を支援、駆け落ちカップルを保護する印NGO
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■「愛する者同士の権利」
インドは急速な近代化を遂げているとはいえ、両親の意志に反した結婚相手を選んだ若者たちに対する暴力は、いまだに大きな問題となっているとサチデフ氏は説明する。
AFPの取材に対しサチデフ氏は「カースト制度や宗教、経済的・社会的な地位といった理由で、両親が子どもたちの恋愛関係に反対するケースが今でも多い。若者たちの多くは結婚を認めてもらうために両親を説得しようとするが、両親たちが娘の通学をやめさせたり、娘を違法に監禁したりすることがしばしば起きる。場合によっては名誉殺人に至ることもある」
インドでは長い間、家族や地域社会が認めない恋愛関係を持った若いカップルたちを標的にした殺人が横行してきた。
バウナ・ヤダブ(Bhawna Yadav)さん(21)も、家族の評判や名誉を守るために近親者や村の長老によって実行されるそうした殺人による犠牲者の一人だ。この事件では、バウナさんの両親とおじが殺人の共謀と死体遺棄の容疑で逮捕されている。
家族や親戚は、異なったカーストに属しているバウナさんの夫アビシェーク・セット(Abhishek Seth)さんとは別の男性との結婚を望んでいたため、2人は秘密裏に結婚した。
この結婚が露見したとき、バウナさんの両親はお祝いのため、セットさんに娘を家に帰すよう頼み、セットさんも友人のアドバイスに従って同意した。その後まもなくバウナさんのいとこから、彼女は殺害されて火葬されたとの連絡を受けたという。
AFPに対してセットさんは、「僕たちにはたくさんの計画があった。彼女はゴア(Goa)へ旅行したかったし、お互いの腕に2人のイニシャルとハートマーク柄のタトゥーを彫るつもりだった」と話す。
ラブ・コマンドスのサチデフ氏は、こうしたぞっとするような事件は報道されないこともしばしばで、警察がすすんで目をつむることさえあると語った。
サチデフ氏は、若いカップルを守るために当局がもっと対応策をとる必要があると指摘し、諸政党が「恋人たちの権利を保護する政策」をまとめる必要があると呼び掛けた。
また一方では、同氏によると家族や世間の圧力や暴力による脅しに負けじと、恋愛結婚に踏みきる勇気を持った若者たちの数がどんどん増えているという。
専門家らによるとインドでは、結婚を親らが決める風習はいまだ根強いが、状況は徐々に良くなってきている。ある社会学の教授は、教育によって結婚に対する若い女性の発言権が上昇するだろうとAFPに語った。(c)AFP/Etienne FONTAINE