【2月20日 AFP】英ロンドン(London)の国会議事堂周辺で、ブリティッシュガス(British Gas)の「ガス灯点灯員」ゲイリー・アッシャーさんが、ガス灯の機械時計のねじを巻いている──全国的な予算削減で地元の行政サービスが縮小し、節約で明かりも薄暗く抑えられた英国だが、ロンドン市内にある1500台のガス灯は今もなお人の手で維持管理されている。

 200年前、世界に先駆けてロンドンに導入された数万基のガス灯は、脅威の近代技術でかつて暗く危険だった街路に活気をもたらした。今あるガス灯はその最後の1500基だ。「(ガス灯は)美しい。照明として最高で、電気のようにとげとげしくない」と、アッシャーさんはガス灯を巡回しながらAFPの取材に語った。

 ガス灯の半分は機械時計が内蔵されているもので、14日ごとにねじを巻かなければならない。残りは電気タイマーだが6か月ごとに電池の交換をするほか、定期的な部品の検査が必要だ。その存在に気づかない住民も多いが、ガス灯は歴史の一部として地元行政の手で守られているだけでなく、新設さえされている。

「ガス灯がなくなることはありません。それどころか、新設の要望が増えていますよ」と、ブリティッシュガスの運用責任者は話している。(c)AFP