【2月6日 AFP】台湾・台北(Taipei)市郊外で4日に復興(トランスアジア)航空(TransAsia Airways)の旅客機が川に墜落し、乗客乗員58人のうち少なくとも35人が死亡した事故で、最後まで人口密集地帯を回避しようとしたパイロットの遺体は、発見された際にも操縦かんを握ったままだったことが明らかにされた。

 6日の台湾紙、中国時報(China Times)によれば、同機の操縦室で発見されたパイロット廖建宗(Liao Chien-tsung)氏の遺体は両手で操縦かんを握ったままだったという。両脚はひどく骨折していた。

 復興航空のターボプロップ双発航空機ATR 72-600は4日、台北の松山(Songshan)空港を金門(Kinmen)島へ向けて離陸した直後、連なるビルを避け、機体を大きく傾けて高架道路に接触し、基隆川(Keelung River)に墜落した。乗客乗員58人中生存者は15人、35人の死亡が確認された。現在も川と水中に沈んだ機体で残る8人の捜索が続いている。

 パイロットの廖氏は機体が急降下する中、被害を抑えるためにビルの立ち並ぶ地帯を回避したとみられ英雄として称賛されており、指導者や市民らがその死を悼んでいる他、大手新聞各社は多くの命を救ったとして一面で同氏の追悼記事を掲載している。(c)AFP