【2月3日 AFP】国際通貨基金(IMF)の前専務理事で、一時はフランスの有力大統領候補とされたドミニク・ストロスカーン(Dominique Strauss-Kahn)被告の売春あっせん疑惑をめぐる裁判は、商談を結ぶために使われる高級売春婦の世界に光を当てた。

「私はVIPとみなされていて、企業の社長たちや政治家に贈り物として与えられていた」と、ベルギーの元売春婦キャロルさん(41)は言う。ベルギーでは2013年まで売春が合法だった。

「企業、時に国際的な大企業がやってきて、プレゼントとして贈れる女の子はいないかと聞いてきた」と、キャロルさんは言う。彼女は、地元事業者にトラック3台を売りたがっていた自動車関連会社のことを覚えている。「私は、商談相手がサインしてくれるために必要なことは何でもやらなくてはならなかった」

 3日に始まったストロスカーン被告の裁判の弁護団の一人によると、コールガールのうちの「7~8割」が、商談を成立させるために雇われている。セックスは圧力をかけるためにも使われる。キャロルさんはよく男性を誘惑し脅迫するための材料をつくる「ハニートラップ」を仕掛けるためにホテルへ送られたと言う。

 こうしたハイエンドのクライアントを相手にする女性たちは、比較的恵まれた暮らしをしている。「彼女たちは貧しくて若いルーマニア人では決してない。ほとんどが売春ネットワークやネットのエスコートサービスに登録している」と、反売春運動団体「セレ財団(Fondation Scelles)」のイブ・シャルプネル(Yves Charpenel)代表は言う。「だが値段が高かったとしても、その75%はあっせん業者の取り分になる」

 今週の裁判では、地元のビジネスマンや警察官に利用されていた売春あっせん組織に関与したとして、ストロスカーン被告を含む14人が罪に問われている。だが、売春あっせん事件の裁判は、出廷を了承した売春婦たちの証言に頼ることが多いため、検察側にとっては難しい事案だ。売春婦らを支援する団体「ムーブマン・デュ・ニ(Mouvement du Nid)」によれば、今回の裁判で証言台に立つ予定の女性たちは、証言を辞退するよう脅迫されたり圧力をかけられたりしているという。(c)AFP/Cecile Azzaro