■ネット監視が鍵

 チャドリス氏は「ダークウェブ(Dark Web)」の利用が増えていることにも言及した。「テロリストたちは、電話やインターネットは便利だが危険なものだということを認識している。そのため捜査が一層難しくなっている」という。

 イスラム国や国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系のイスラム武装勢力「アルヌスラ戦線(Al-Nusra Front)」などはネット上の活動の場を、暗号化ソフトや匿名化技術などを利用する「ダークウェブ」に移行させつつある。チャドリス氏は「われわれが関心を向けている戦闘員たちはコンピューター関連の専門性を高めている。暗号化ソフトやデータ削除の方法について熟知している」と語った。

 この事態を受けて警察当局は作成やコンピューターの専門家の協力を仰ぐようになっているが、こうした問題にはきりがないため捜査の進捗が遅れる原因になっている。

 米国のシンクタンク、ヘリテージ財団(Heritage Foundation)のヘレ・デール(Helle Dale)氏は最近発表した報告書で、イスラム国が実際に活動しているシリアなどの場所では捜査員など人間による情報収集がほとんど行われておらず、使用できる無人機の数にも限りがあることから、イスラム国との闘いの鍵はインターネット上の監視活動だと主張するとともに、イスラム国が、通信の暗号化、ネット上に姿を見せることの制限、送信したメッセージを速やかに削除するサービスの利用などを始めていると述べた。(c)AFP/Michel MOUTOT