【1月31日 AFP】南アフリカで30日、アパルトヘイト(人種隔離政策)時代の最も悪名高い大量殺人者として知られ、20年間の服役したユージーン・デコック(Eugene de Kock)受刑者が、仮釈放されることが明らかになった。

 同国のマイケル・マスサ(Michael Masutha)矯正サービス相は記者会見で、「国家建設と和解のため、デコック氏の仮釈放を認める決定を下した」と述べた。マスタ氏はさらに、同じアパルトヘイト時代の殺人で有罪になった2人の受刑者の仮釈放を拒否したことを付け加えた。

 反アパルトヘイト運動家を標的とする警察の悪名高い暗殺部隊ファルークプラス(Vlakplaas)の隊長を務め「プライム・イビル(大悪魔)」と呼ばれたデコック受刑者は1996年、「終身刑2回プラス禁錮212年」の刑を言い渡されていた。

 デコック受刑者は、アパルトヘイト時代の罪を認めた者に恩赦を与えるなどの目的で1995年に創設され、デズモンド・ツツ(Desmond Tutu)大主教(当時)が委員長を務めた真実和解委員会(Truth and Reconciliation CommissionTRC)で、アパルトヘイト時代に100人以上の殺人と拷問および不正行為に関わったことを認めた。

 デコック受刑者はアフリカ民族会議(African National CongressANC)の英ロンドン(London)事務所爆破事件(1982年)を含むほとんどの罪について恩赦を受けたが、6件の殺人について直接的な政治的動機がなかったとして収監されていた。