■丸い形状の頭蓋骨

 今回の最新研究は、現生人類とネアンデルタール人が相互に接触していた可能性が明確に存在することは示しているとラティマー氏は指摘する。

 論文によると、「現生人類とネアンデルタール人は、どちらも同時代にレバント(Levant)南部に住んでいたため、交雑という事象が十分起こり得るほど地理的、時間的に近接していたと考えられるという。交雑説ではこれまで、交雑はかなり後の時代に、欧州で起きたことが示唆されていた。

 研究チームによると、今回発見された頭蓋骨は、6万年ほど前に人類発祥地アフリカから各地に広がった集団移動の一部としてこの地に移り住んできた初期のホモ・サピエンスのものかもしれないという。

 頭蓋骨の丸い形状は明らかに現生人類のものだが、後頭部には、現代人にはないか、すでに退化した「髷(まげ)」のような骨の構造がみられる。

 ホモ・サピエンスは、サハラ(Sahara)北部と地中海(Mediterranean Sea)地方の温暖湿潤な気候の恩恵を受けるためにアフリカを離れた可能性が高いと、論文の執筆者らは説明している。

 彼らは中東に足を踏み入れた後、二手に分かれて西は欧州、東は南アジアへと進出し、最終的に地球全体を勝ち取った。(c)AFP/Richard INGHAM